クライアントが記録してくれないとき、トレーナー側が変えられること
オンライン指導でいちばん多い詰まりが「クライアントが記録を送ってくれない」です。催促を増やすのではなく、記録の設計側でできることを整理しました。項目を減らす、頻度を落とす、返す型を決める、の3つです。
オンラインで指導をしていて、いちばん多い詰まりは何かと聞かれたら、「クライアントが記録を送ってくれない」だと思います。
セッションの日は来る。でも、その間の記録が来ない。
この記事では、催促の仕方ではなく、記録の設計側で変えられることを3つ書きます。
なぜ催促を増やしても戻らないのか
送ってこない人に「送ってください」と伝えると、たいてい一度は送ってきます。そして数日でまた止まります。
止まる理由は、やる気ではなく手間の方にあることが多いからです。催促は動機に働きかけますが、手間は変わりません。手間が同じなら、また同じところで止まります。
そして催促には副作用があります。送れていない期間そのものが気まずくなるので、戻るハードルが上がります。「3日分たまってしまったから、まとめて送らないと」と思った時点で、もう戻ってきません。
変えられること1:項目を減らす
最初に見直すのはここだと思います。
指導する側は、情報が多いほど正確に見られます。だから項目が増えます。ただし増えた項目は、全部クライアントが入力します。
| 都合 | |
|---|---|
| 指導する側 | 項目が多いほど正確に見られる |
| 続ける側 | 項目が多いほど毎日の手間が増える |
この2つは真正面から対立します。 どちらを取るかを決めていないと、だいたい前者に寄ります。
現実的には、「これが無いと指導できない」ものだけ残すのが良いと思っています。あれば嬉しい程度のものは外す。外した情報は、セッションのときに口頭で聞けば足ります。
変えられること2:頻度を落とす
毎日でなくてよい項目は、意外とあります。
体重は毎日でなくても傾向は分かります。写真も毎食でなくてもいい。「毎日」を前提にすると、1日抜けた時点で失敗になります。
たとえば「週3日でいい」と最初に伝えておくと、抜けた日が失敗になりません。上限ではなく下限を決めるという言い方の方が近いかもしれません。
⚠ここで気をつけたいのは、頻度を落とすと成果が出にくくなるわけではないということです。続かないと、そもそもデータが無くなります。 週7日で3週間止まるより、週3日で3ヶ月続く方が、見られる情報は多くなります。
変えられること3:返す型を決めておく
記録が送られてきたときに何を返すか、先に決めておくと楽になります。
決まっていないと、毎回考えることになります。考えるのが重い日は返信が遅れて、返信が遅れると、クライアント側の送る頻度も落ちます。
私が良いと思っているのは、「1つ拾って、1つ渡す」の型です。
- 拾う:記録の中から具体的に1つ触れる(「昨日の夜、野菜が入ってましたね」)
- 渡す:次にやることを1つだけ言う(「今週はここだけ続けてみましょう」)
全部にコメントしない。 全部にコメントすると、返す側が続きません。そして受け取る側も、指摘が多いと重く感じます。
記録が止まったときに言わない方がいいこと
これは私自身が家庭でやってしまったことでもあります。
| 言い方 | 何が起きるか | |
|---|---|---|
| ❌ | 「最近送ってくれてないですね」 | 空白を数えている |
| ❌ | 「せっかく始めたのに」 | 過去の自分と比べさせている |
| ⭕ | 「今日の分から、また送ってください」 | 今日から始められる形になる |
空白を数えないことが、いちばん効くと思っています。1日分から再開できる形にしておけば、戻ってくる確率が上がります。
まとめ
- 催促は動機に効くが、手間は変わらない。同じ場所でまた止まる
- 項目を減らす(無いと指導できないものだけ残す)
- 頻度を落とす(下限を決める。週3日で3ヶ月の方が情報は多い)
- 返す型を決める(1つ拾って、1つ渡す。全部にコメントしない)
- 止まったときは空白を数えない
記録は、指導する側の道具であると同時に、クライアントが毎日やる作業です。設計するときに後者を忘れると、だいたい止まります。
本記事の内容は、以下の公的機関・学会の公開情報を参考にしています。
- 日本人の食事摂取基準(厚生労働省)
- 日本食品標準成分表(文部科学省)
- 健康日本21 (健康増進法)(厚生労働省)